〇〇信仰について

お稲荷さんについて

【赤い鳥居ときつね】といえば、誰もが連想するのがお稲荷さんこと稲荷神社ですね。稲荷神社の御祭神は宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)です。

3万社を超える稲荷神社の総本社が京都の伏見稲荷大社です。

伏見稲荷大社の起源については「山城国風土記」の逸文に《秦中家ノ忌寸等の遠祖、伊呂具秦公の的にして射た餅が白鳥と化して飛び翔けり、その留った山の峰に“稲”が生じた奇瑞によって、イナリという社名になった》とあります。

奈良時代に秦伊呂具(はたのいろく)が餅を的にして矢を射ました。その餅が白鳥に変わり稲荷山の三が峰の頂きに舞い降り、そこに稲が生えました。そこで伊呂具は三が峰それぞれに神社を建てて、そこに神々を祀ったといいます。

主祭神である宇迦之御魂神は日本書紀などで食物を作り出す神様とされています。

【稲荷】は【稲成り】の意味でしたがいつのころからか現在の稲荷の文字があてられたと考えられます。

古来より稲作を中心としてきた日本人には農業の神様としての稲荷神社は親しみがあり、重要な神様だったわけです。

時代が変わり商工業が盛んになると、【稲生り】は【生成】にも通じるものなので、物が増えることをつかさどる神様とされ、商売繁盛の神様としても崇高されていきます。

おいなりさんというと、反射的に思い浮かべるのは狐ではないでしょうか。神社では、たとえば伊勢神宮の鶏、春日大社の鹿、日吉大社の猿、八幡宮の鳩というふうに、それぞれ固有の動物が神の使いとして尊ばれています。しかし、お稲荷さんの狐は、単なる神使ではなく、眷属といって神様の一族のような資格を与えられており、そのため狐は稲荷神そのものだという誤解も一部の人にもたれています。

お稲荷さんと狐がこのような親密な関係をもつに至った由来については、いくつかの説があります。そのなかで一番よく耳にするのが、稲荷の神が「食物の神」つまり御饌神(みけつかみ)なので、その「みけつ」がいつのころからか、御狐(おけつね)・三狐(みけつね)に転じたことによるという説でしょう。

あるいは、稲荷神がのちに密教の荼枳尼天と本迹関係を結んだことを重視し、荼枳尼天のまたがる狐がそのまま稲荷神の眷属とされたのだという説も一般に流布しています。